志摩國一の宮「式内社」伊射波神社(いざわ) HOME blog

鎮座地 〒517-0021 三重県鳥羽市安楽島町1020 旧志摩国 答志郡  
電話  0599-25-4354(宮司宅)
旧社格等  無格社
志摩國一宮
式内社 志摩國答志郡 粟嶋坐伊射波神社2座 並大
御祭神  ・伊射波登美命
(配祀)
 ・玉柱屋姫命
御由緒  志摩国の一ノ宮 式内伊射波神社(いさわじんじゃ)
  通称「かぶらこさん」
<主祭神>
 稚日女尊(わかひめのみこと)
 伊射波登美尊(いさわとみのみこと)
 玉柱屋姫尊(たまはしらやひめのみこと)
 狭依姫尊(さよりひめのみこと)
<縁起>
 人里離れて椎、椨(たぶのき)などの原生林に覆われた神域には、平成13年秋に造営された木造神明造りの本殿、拝殿と平成4年に新築された籠堂があり、神前に佇めば、何がしか森厳さを感じさせます。
 当社は、古来より加布良古太明神、志摩太明神と呼ばれ、地元安楽島や近在では「かぶらこさん」の愛称で親しまれてきました。
 志摩国の一ノ宮、式内伊射波神社の格式ある由緒は、延喜5年(905年)醍醐天皇の勅命により、藤原時平、忠平らが編纂した『延喜式・神名帳』に、
 志摩国三座 大二座小一座 粟嶋坐伊射波神社二座並大 同嶋坐神乎多乃御子神社 小一座
 と登載されているからです。つまり安楽島の古名である粟嶋には、伊射波神社があって二柱の神が祀られ、格式はともに大社。小社として神乎多乃御子神社があるということです。
 大二座のうちの一座、伊佐波登美尊を祀った本宮は、安楽島町字二地の贄にありました。昭和47年から61年にかけて鳥羽市教育委員会が発掘調査をし、その全貌が『鳥羽贄遺跡発掘調査報告』に報告されています。
 遺跡は、縄文中期から平安中期に至るまでの時代の連続した復々合遺跡で、おびただしい数の製塩、祭祀用土器、儀礼用銅鏃(矢じり)、神水を得るため欅の巨木を刳り抜いて造った豪勢な井戸、神殿と思われる建物跡が発掘され、皇族、貴族が往来した痕跡が見つかっています。こうしたことから、古代伊射波神社は国家にも崇敬
された偉大な「贄持つ神」であったことの証と云えましょう。

 伊佐波登美尊は、第十一代垂仁天皇の皇女倭姫命が、伊勢国内宮に天照大神の御魂をご鎮座させた折、これを奉迎して鎮座に尽力し、また志摩国の新田開発にも大きな功績を残したと伝えられています。後、大歳神と号された尊は伊射波神社本宮の衰退と共に、加布良古崎の伊射波神社に遷座されました。
 玉柱屋姫命は『倭姫命世紀』によれば、天孫瓊々杵命の重臣で水の神として崇敬された天牟羅雲命(あめのむらくものみこと)の裔(子孫)で、神武天皇の勅により伊勢国を平定した天日別命の娘と記されています。
 大二座のもう一座は、稚日女尊を祀る加布良古崎の伊射披神社。
霊験あらたかな神様として知られる稚日女尊は、加布良古太明神とも称され、朝廷に捧げる贄物の一部を太明神にも奉納するいう別格の扱いを受けていました。
「加布良古の外峯に立てる姫小松、沢立てる松は千世のためし。加布良古の沖の汐ひかば、宮古(都)へなびけ 我もなびかん。加布良古の大明神に、遊びの上分参らする請玉の宝殿」
 これは今から461年前書き写された「外宮摂末社神楽歌」の最後の方の一節です。
 古代、安楽島の前の海では、朝廷に捧げる貝(あわび)を採る神事が行なわれ、その様子を歌ったものです。
加布良古太明神ともいわれた女神、稚日女尊を姫小松に見立て、「この松は千年の後も栄えるでしょう。加布良古の沖の汐がひいたら、神事で採れた貝を納めに都へ行きます。加布良古の太明神に分け前を奉納してから」というものです。
 この神楽歌から、古代伊勢神宮とは浅からぬ関係にあったことが推測されます。
『神宮紀』によれば、「尾田(加布良古の古名)の吾田節(後の答志郡)の淡郡(粟嶋=安楽島)に居る神(稚日女尊)とあります。稚日女尊は天照大神の妹君、分身とも云われ、第十五代応神天皇の母君である神功皇后の崇敬厚く、皇后が筑紫国(九州)から倭国に凱旋した折にも、常に御許においてお祭りされていました。
 狭依姫命は、宗像三女神の一柱である市杵島比売命の別名で、厳島神社のご祭神でもあります。安楽島では、粟嶋と呼称されていたころ、神乎多乃御子神社(小一座)のご祭神として、加布良古崎の前海にあたる長藻地(海図では長藻瀬とある)という島嶼こお祭りされていましたが、戦国の世地震によって、その社地は海底1、8mに水没してしまいました。幸いご神体(石体)は村人らによって見つけ出され、現在は伊射波神社に合祀されています。
<御神徳>
 縁結び・夫婦和合・海上安全・大漁祈願・五穀豊穣・合格祈願・病気平癒(特に女性)
<主な催事>
 明神祭 7月7日に近い日曜日(午前10時から)
 木漁祈願祭 11月23日(午前10時から)
 勤労感謝祭     〃
<交通>
 鳥羽駅(近鉄・JR)で下車。連結するバスターミナルから、安楽島行きの三重交通バスで約20分。そこから、加布良古崎山頂の鎮座地まで徒歩で約30分。要所に「右一ノ宮」の標石が配置されています。
 (神社パンフレットより、原文のまま) 
参拝月日  04/03/2009

写真をクリックしてくださいフォトアルバムに移動します。
一の鳥居 拝殿