御由緒 |
◆来宮神社 御祭神
大己貴命(おおなもちのみこと) 営業繁栄・身体健康・縁結びの神
五十猛命(いたけるのみこと) 樹木と自然保護の神
日本武命(やまとたけるのみこと)武勇と決断の神
◆来宮神社 御由緒
古くから来宮大明神と称し、熱海郷の地主の神であって、伊豆の来宮の地に鎮座し、来福・縁起の神として古くから信仰され、「延喜式神名帳」には「阿豆佐別神社」 アズサワケジンジャの名で記されております。
平安初期の征夷大将軍坂上田村麻呂公は戦の勝利を神前で祈願し、各地に御分霊を祀ったともと伝えられ、現在では全国四十四社のキノミヤジンジャの総社として、信仰を集めております。
御祭神 大己貴命は
素蓋鴫命の御子であって又の名を大国主命、俗に『大黒様』とも云われ、古代出雲の国の神々が海、山を渡り伊豆地方に進出されたときに、この熱海の里が海山に臨み、温泉に恵まれ、風光明媚にして生活条件の整っていることを愛し、この処に住居を定め、祀られたと伝えられています。
御祭神 五十猛命は
素豊嶋命の御子で、大陸より樹種を持ち帰り、日本国土に播種した神であります。当社へは和銅三年(七一〇年)に合わせ祀られました。おおよそ、今から一三〇〇年前の旧暦六月十五日に熱海湾で漁夫が綱をおろしていたとき、御木像らしき物がこれに入ったので、不思議に思っていると、童子が現れ『我こそは五十猛命である。この里に波の昔の聞こえない七本の楠に囲まれた祠があるから、そこに私を祀りなさい。しからば村人は勿論、里に入り来る人々も守護しよう。』と告げられ、村民達が探し当てたのが、此の熱海の西山の地でした。その当時、御神前に、麦こがし、百合根、ところ、橙をお供えしたところ喜んで召し上がったと伝えられています。今でも六月十五日(新暦七月十五日)になると熱海の氏子は海岸に出て、当時を偲ぶお祭り(七月の例大祭・こがし祭)を行ない、多くの人々で賑わいます。
御祭神 日本武命は
人皇十二代、景行天皇の御代、御東征に出陣せられ、箱根路から、この地に軍を進められたとき、産業を奨励した功績と武勲を称え合わせ祀られたと伝えられています。
◆御神木 大楠
本州一位の巨樹(全国二位)
文部省指定 昭和8年2月28日
樹齢 2千年以上
周囲 23.9米 高さ 約25米
江戸末期まで 『木宮明神』と称し、古来生活文化に欠くことのできない 『木』に宿る神々に感謝する信仰を有しておりました。
この大楠に古代の人々は「神にお降り願う木・尊び聖なる木」として崇めてまいりました。斯くて二千年以上の長い間、落雷、暴風雨など、世の天変地異にも耐え、現在でも一年を通じ、常に青々とした楠の葉を繁らせることから、超越した生命力を有する神木と信じられ、「不老長寿」「無病息災」の象徴とされております。大桶を一周すると「寿命が一年延びる」と信じられ、願い事がある方は、願い事を心に秘め幹を一周すると願いが叶うと言い伝えられ、「長寿の神木、成就の神木」として、多くの信仰を集めています。
この大桶を人に例えれば、世の中のあらゆる物を知り尽くしている太古老といえましょうか。二千年を経ても尚樹生は少しも衰えず、根は深く大地に食い込み、巨岩を抱きかかえ、幹のこぶは石の様相を呈し、内に益るる生気は益々旺にして、未来永却に生き抜こうとする生命力の強勒さに人は畏怖いたします。
今の世に大楠のように長寿で然も厳然として物にも動せず、ひたすらに正しく生きる道に徹することが出来たならば、なんと幸せな事でしょう。これに肖り、今現在でも国内外の方々をはじめ、訪れ願う参拝者はあとを絶ちません。
最後に大桶を費えた、故佐々木信綱先生の詩歌を紹介いたします。
来宮は樹齢二千年の大樟のもと 御國の栄え祈りまつらむ
◆禁酒の神徳
来宮神社は、『禁酒』の神として古くから、一般に信仰され、毎日禁酒に来られる方が跡を絶ちません。江戸時代の書物『をぐり』の中での禁酒に纏わる「我、来宮精進‥・」の言葉は多く知られております。禁酒祈願の後、無事満願になると神札を神前に返し、神に約束した間、無事禁酒が出来、身体も頑強に、家業も繁栄し家庭も円満になった事を神に奉告し参拝します。斯く禁酒した人は今まで万余を数えます。
◆来宮神社例大祭 別名こがし祭
御祭神五十猛命がこの地に鎮座したとき、御神前に 『麦こがし』 をお供えした故事に習い、七月十四・十五・十六日の例大祭は 『こがし祭』 とも称されております。十六日には、神々を御鳳輦に遷座いたし、麻袴の一行と氏子崇敬者に旗差物が加わり、獅子行列を先頭に神賑行事奉納者など総勢五百名の時代絵巻が再現されます。
御鳳輦を猿田彦命の装束を纏った氏子が、『麦こがし』 を町中に播きながら先導を致します。此の麦こがしにかかれば、古くから無病息災、身体健康になると伝えられ、多くの人々で参道は埋め尽くされます。
期間中は三十数基の睦神輿・青年神輿などで町は賑わい、夜間は各町内から出る三十数台の山車が町中に繰り出し、祭囃子を互いに競いつつ町中を練り廻ります。十五・十六日両日は町中神人和楽のるつぼと化し、昼間、神社と御旅所では、県無形文化財に選定されている鹿島踊や、古くから童女が舞を奏でる神女神楽、乙女が仕える浦安の舞等、琴、横笛、太鼓の奏でる音と相和して奉納されます。
(神社パンフレットより) |