御由緒 |
寳登山神社畧記
御祭神
大山祇神 山を掌り 山の幸を恵み給う
神日本磐余彦命 我が国を肇め給いし神武天皇
火産霊神 火を掌り 火の幸を恵み給う
御由緒
第十二代景行天皇の皇子 日本武尊(やまとたけるのみこと)が東北地方を平定し、御凱旋の途次、 寳登山々頂で御三柱の神をお祀り申し上げたのを以て、創始となす。
登山に先立ち、尊が心身を清めた「玉の泉」は今なお御本社玉垣内に残る。
登嶺の途中、山火事に遭われた時、神使の巨犬が火を消し止め、尊を頂上迄導いた。此の為古くは「火止山」と称し、後に「宝登山」に改称す。
この巨犬は大口真神(おおくちまがみ)御眷属(ごけんぞく)で、火防盗賊除・諸難除の霊験あらたかである。
御例祭
四月三日 献幣使参向・神楽奉奏・奉祝煙火等一年一度の最高の厳儀
(御仮殿掲示板より)
宝登山神社御由緒物語(抜粋)
今からおよそ1900年ほど前、第12代景行天皇の御代のこと、日本武尊とその軍勢が東国地方平定の折、宝登山に登って神霊を拝したというお話しです。
尊が兵を従えて宝登山の麓へと進んで行くと、森の中に岩に囲まれた清らかな泉がありましたので、尊も兵も、この泉で「みそぎ」をして、身を清めました。
一隊は、頂上へ向かって登り始めました。が、しばらくすると辺りの様子がおかしい事に気がつきました。そのうちに黒い煙がどっと吹き寄せました。山火事です。黒い煙は、あっという間に火の波に変わりました。
尊は兵をはげましながら、ご自分も剣を抜いて草をはらい、枝を切って猛火と戦いました。けれども火の勢いは強くなるばかり。一隊は火の渦に巻き込まれて脱出する事ができません。尊のお命も危うくなりました。
その時、突然現われたたくさんの白い影、黒い影。影は風を切って、次々に猛火の中に飛び込んで行きます。影のように見えたのは、大きな白犬、黒犬です。犬たちは、荒れ狂う炎の中で火を消し止めようと大活躍です。そのすさまじさ、ものすごさ、火の勢いは見る見る衰えていきました。
すっかり火が消えました。犬たちの見事な働きに尊も兵も我を忘れて感嘆していますと、犬たちは二頭、三頭、また五頭と尊の前に集まって、静かに歩き始めました。さあどうぞこ頂上へご案内いたしましょうというように。頂上へ着くと、いつの間にか犬の姿はどこにも見えません。影のように現われた犬たちは、影のように消えていました。
「おお、やはりあの犬たちは“山の神様のお使い”に違いない。本当にありがとうございました。」尊は、神様に対し、心から御礼を申し上げました。頂上からは悠久の天地が広大、荘厳に眺められました。
尊はこの山を『火止山』ホドヤマと名づけられ、“神をお祀リするのにふさわしい、立派なお山”
とされて、『神籬』ヒモロギ(御神霊をおむかえするための憑り代)をお立てになり、
神日本磐余彦尊 かんやまといわれひこのみこと(神武天皇)
大山祇神 おおやまづみのかみ (山の御神霊)
火産霊神 はむすびのかみ (火の御神霊)
の三柱をお祀リになりました。
これが当社御鎮座の起源、「宝登山神社の始まり」です。その後『火止山』は霊場として栄え、弘仁年中に「宝珠の玉が光り輝きながら山上に飛翔する」という神変が起こり、山の名と神社の名はこの吉祥事により『宝登山』と改められて、今に至りました。
(神社パンフレット「参拝のしおり」より) |