御由緒 |
秋葉山本宮秋葉神社
静岡県周智郡春野町領家秋葉山。旧県社(現、別表神社)。
秋葉山は標高866メートル、赤石山脈の最南端、天竜川の上流に位置する。この山頂に上社があり、山麓坂下の気田川(天竜川の支流)清流に臨み下社がある。
火之迦具土大神を祀り、鎮火・防火の神としての信仰が薄く、近郷はもとより各地に多数の分社と講社をもつ。創立の年代は詳かでないが、社伝によれば和銅年中(708-15)の鎮座という。『三代実録』貞観16年(863)5月従五位下に昇叙された遠江国岐気
火神は当社を指すとみられる。
恐らくは原始山岳信仰にその源を発し、後に仏教と習合、修験霊場として発展したものと思われる。鎌倉末期に越後より来任したという修験者の三尺坊は、後年当社に配祀されて秋葉三尺坊と称され、また大登山秋葉寺が創建され、代々の住僧は当社の別当職と なった。
徳川幕府は朱印領二五石を安堵し、享保8年(1723)後西天皇宸筆の「正一位秋葉大権現」なる勅額を賜り、庶民の間の秋葉講も江戸期には相当の高まりを見せた。
明治の神仏分離により秋葉寺は廃寺となり(現在杉平にある秋葉寺は明治中期の新設で、同名ながら別個のもの)、三尺坊の像をはじめ仏具、仏器は袋井の可睡斎に移され、権現号も廃止して秋葉神社と改めた。昭和27年には更に秋葉山本宮秋葉神社と改称。
例祭12月15、16日。特に16日の夜半には著名な火まつり(防火祭)があり、古伝の弓・剣・火の三舞が行われる。
(東京堂出版・神社辞典より) |